シューベルト歌曲集「冬の旅」作品89 D.911(全曲)訳詞
Die Winterreise / Franz Schubert


冬の旅  ヴィルヘルム・ミュラー
訳詩:神崎昭伍

※テキストデータのためウムラウトなどは省略しています。


10 休  息


休息のために横になって,
今はじめて私がどんなに疲れているかに気づく.
旅はもてなしてくれる人とてない道で,
私の勇気を支えてくれた.

足は休息を求めたりはしなかった.
立ちどまるには寒すぎた.
背なかは重荷を感じたりはしなかった.
嵐は私がすばやく道をたどる助けとなった.

炭焼きの狭い家に
私は泊めてもらうことになった.
だが私のからだは休んではいない.
その傷は燃えたつようだ.

ああ,私の心よ,戦いと嵐のときには,
あんなにも荒あらしく勇敢なお前は,
静かになって始めてお前をむしばむ苦しみが
うごめき,はげしく刺すのを感じている!


Back